極まりゆく
よろこびの波紋

これは
ひとりのものじゃない
みんなのものだ！

窓辺の花を
赤の
ゼラニウムに変えたら

時々
風にとばされた
小さな赤い花びらに出会って
どきりとする

赤という色のせいだろうか

赤いバラの花びらにも似た
色気があるんだね

ゼラニウムという花であるときには
見えないんだけれど

ひとひらの花びらになったとたん

その赤が
命を帯びる

想えば
静寂というもの
この公園の緑たちに
教わったのかもしれない

そんなことを思いながら
すっかり緑になったさくらの木陰で
太極拳
　
　　　☆

ふかきふかき
やすらぎの底

なにもかもが
穏やかだよ

水面では
荒れたり
波だったりしても

ここはいつでも
凪なんだ

こんなに深いところでは
光さえも届かないけれど

それでも
なぜか明るいんだ

そうだね

意識とは
光なんだね・・・

この静寂が
心地よいから

飽きるまで
ここにいることにするよ

小さな
計算はいらない

深い
やすらぎの底から
あぶくのように
たちのぼる

おおいなる
言葉とともに

わたしは
だれの心にもある
静寂を
とどけたい

それこそが
よろこびであり
しあわせであり

いのち
そのものだから

一度でも
その静寂に触れたものは

よろこびも
しあわせも
すべては
ここにあると知るだろう

痛みや
悲しみも

その静寂の中では
ちいさな幼子のように
微笑んでいる